建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

アンカーボルト

建築構造用のアンカーボルトの規格が制定された背景、規格の詳細、入手方法などを教えて下さい。


A

1995年の阪神大震災では露出形式柱脚におけるアンカーボルトの破断が多く見られ、それが原因で多数の建物が倒壊したり、大破しています。その原因として、その時点まで鉄骨構造物の柱脚に用いる構造用アンカーボルトについて長期間全く規格がない状況が続いていたことが挙げられます。 このような状況を背景として、2000年6月に日本鋼構造協会が建築構造用のアンカーボルトの規格(JSS-II-13、14)を制定し、その後、実際の使用状況、材料特性を考慮して、2004年4月に改定がなされ、現在広く使用されるようになってきています。

JSS-II-13は「建築構造用転造ねじアンカーボルト・ナット・座金のセット」であり、対象とするアンカーボルトの鋼種は、400N/mm2クラス(ABR400)と490N/mm2クラス(ABR490)があります。素材は基本的にSNR400BとSNR490Bの規格品ですが、ねじ部を素材のまま転造するため、ねじ部が転造後に正規のねじの直径となるよう軸部の直径がねじ部より小さくなっており、かつ十分な寸法精度が必要であるため、精密圧延で製造されています。なお、ねじ部の転造加工がある程度の規模のメーカーでも製作できるよう、ねじサイズは、M48以下としています。表1にこの規格のボルトの一覧表を示します。

JSS-II-14は「建築構造用切削ねじアンカーボルト・ナット・座金のセット」であり、アンカーボルトの鋼種は、400N/mm2クラス(ABM400)と490N/mm2クラス(ABM490)です。素材は基本的にSNR400BとSNR490Bの規格品ですが、ねじ部を切削で加工することとねじ部破断以前に軸部が降伏することを保証するため、加工後のねじ部の断面欠損の影響を考慮して、素材の降伏比をいずれも0.75以下と規定しています。なお、同様の理由からねじ形状は、メートル細目ねじとしています。この規格のボルトの一覧表を表2に示します。

これらの規格を満たすアンカーボルトの形状は、図1に示すように両端にねじ部を持つもので、定着側には定着板を挿入して使用することとしています。逆使いの混乱を避けるため、両側のねじ長さは同じとし、定着部に使用するナットもベースプレートを締める2重ナットも総て同じものを用いることとなっています。なお、定着長さは、20dと25dのものを標準としています。 これらのアンカーボルトを引張った時の荷重とアンカーボルトの全体伸びの関係の代表例を図2に示します。ここに見るようにABR、ABMボルトともねじ部破断に至るまでに軸部で十分な塑性変形を生じることが認められます。

次に、このボルトの製造・販売の状況について述べておきます。2000年12月には、このボルトの全国的な普及、入手の容易さ及び品質的に問題のない製品の製造・販売を目的として、意欲のある全国のアンカーボルトメーカーが集まって、「建築用アンカーボルトメーカー協議会」を結成してこのアンカーボルトの製造・販売にあたっています。

更に、品質的に問題のない製品を一般ユーザーに提供するために、2006年から日本鋼構造協会の建築鉄骨品質管理機構によるアンカーボルトメーカーの工場認定を実施しております。以上に述べた点についての詳細を知りたい方は、上記協議会(ホームページ)に連絡して下さい。

回答者 田中淳夫

図1
図1 アンカーボルトのセット
図2
図2 アンカーボルトの引張試験結果
表1
表2

参考文献:月刊 鉄構技術 2002年2月号・2004年4月号

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