建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

5-21 トルシア形高力ボルトの軸力検査

 高力ボルトの軸力検査が,物件により必要な場合と必要でない場合がありますが,検査の必要性はあるのでしょうか。 軸力検査用で用意する高力ボルトは,実際の接合部に使用しない高力ボルトの首下長さを準備する工事もあります。

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A

 以前のJASS 6においてはトルシア形高力ボルトについて,軸力検査が明示されていましたが2008 年の改定から軸力検査の内容は削除されています。
 特別に品質を確認する必要がある場合に特化して「高力ボルトの品質確認のための試験」の中に「導入張力確認試験(通称 : 軸力検査)」として位置づけられています。高力ボルト接合が普及して信頼性が高いことが大きな要因です。また質問に示されているように実際に使用しない首下長さを準備することは検査内容として適正とはいえないことも理由のひとつです。

 JASS 6改定で,現場における導入張力確認試験は特に必要ない限り不要となりました。公共建築工事標準仕様書においても同様に不要となりました。
 ただし,高力ボルトの受入検査と混同して行っている場合や,鉄骨工事技術指針・工事現場施工編に記載されている高力ボルトの品質確認のための試験として行っている可能性が有ります。

 また,東京都の行政指導では,「[建築基準法第12条第5項に基づく]建築工事施工計画等の報告と建築材料試験の実務手引」に「東京都においては,以上の現状及び次の理由から現場軸力導入試験は必要であるとしている」との記載があり,現状と理由として現場でのトルク係数値の変動が示されているため,これに従って行う場合があります。
 したがって,通常は特記仕様に記載しませんが,東京都建築確認規模(延べ 10,000m2以上)の工事においては,この指導に従って特記仕様に記載して行う場合があります。 行政指導であるため無理に従う必要はないといえます。東京都のほかの特定行政庁においても行政から指導があるかも知れません。

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