建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

4-33 屋上搭載型タワークレーン取合い部の溶接法

 屋上搭載型タワークレーン取合い部のガセットプレート、スチフナプレートの溶接要領で、フランジ側突合せ溶接(フルペネ)、ウェブ隅肉溶接で製作するよう指示されました。この時の構造担当者は、フランジを突合せにしておけば、構造上有利になるように考えていたようですが、この場合、その考えでよいのでしょうか。全周隅肉溶接では問題があるのでしょうか。

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A

 確かに、スチフナプレートの間隔が心々で100mmの完全溶込み溶接は如何なものかと思います。
 タワークレーンの反力は、圧縮側は本体の大梁に支圧で伝達され、引張側は長ボルトを介してブラケット状の跳ね出し部の下部水平プレートに流れ、スチフナプレートから梁へと伝達されます。圧縮側のスチフナプレートは隅肉溶接でも十分であると考えられます。

 引張側については、引張力Pが梁心からの偏心距離(200mm)の位置に作用している訳で、Pの値は不詳でも、以下の計算が成り立ちます。

Sec-Aにおける偏心モーメントMは、
  M=P×50
となり、2-PL-9の断面係数Zは、
Z=2×9×2002/6=120×103mm3
であり、許容応力度をFとすると、
M≦Z・Fより,Pは以下となります、
 P≦120×103×F/50 = 2.4×103×F
一方、スチフナプレートのフランジ面との溶接部の抵抗力Rとすると、偶力として計算できます。

(P×200=R×748より)
R=P×200/748=0.267・P≦642×F

 フランジ面との溶接を隅肉溶接とし、そののど厚を板厚と同じ9mm(片面のサイズは7mm以上)としたとき、必要溶接長ℓ は、以下のように計算できます。

  

 このように考えると、隅肉溶接でも十分安全であり、設問のような部材寸法の場合には、完全溶込み溶接とする必要はないと言えます。

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