建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

3-71 大梁に取り付く勾配仕口が同サイズの場合の製作方法

 勾配屋根面で大梁に取り付くキャンテ梁と小梁が,大梁のH形鋼と同サイズの剛接合となるとき突合せ継手部にフランジが外れるずれが生じます。
 ずれは限界許容差内に納まっておりますが、許容差に注意しそのまま製作してもよろしいですか。又はこれに変わる方法があれば教えて下さい。



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A

 スパンが7,875mm,屋根勾配が1/50なので,隣の通りとのレベル差は7,875/50=157.5mmとなります。質問の趣旨は,柱のせいは300mmでダイアフラムの出が30mmなので,その先端をゲージとして大梁を架けると,ダイアフラム先端間の寸法は7,875−(150+30)×2=7,515mmで,勾配は157.5/7,515=1/47.7となります。
 この大梁のレベルと合わせて小梁を取り付けたとき,梁フランジ天端より30/47.7=0.63mm下がってしまうということを言っていると思われます。

(解決策1)

 小梁をフランジ天端に合わせて配置することにすれば,目違いは解消します。この場合,小梁のレベルが大梁と最大0.63mm程度異なることになりますが,鉄骨の精度に比べれば微小であり問題ありません。また,大梁のゲージを通り心より150mmのところを梁フランジ端にすれば解決します。


 一般的に屋根勾配があるときの梁の架け方について,前記のように製作するほか,以下のような方法も考えられます。


(解決策2A)

 勾配と直角方向の梁を傾けて勾配方向の小梁との取り合いを一平面にする方法です。このようにすればガセットの取合いなどは直角取り合いなので梁の製作は楽になります。
 通り心をゲージにすれば,ダイアフラム先端のレベルは, ±3.6mm (=180/50) になりますので,ダイアフラムの板厚を2サイズアップではなく3サイズアップすれば,目違いもなく取り合えます。大梁と小梁の取合いはフランジが1直線になるので勾配のない場合と同じ製作ができます。

 大梁の断面検定は2軸曲げの検討が必要になりますが,1/50の傾きによる弱軸の成分は2%であり,影響は少ないと考えられます。


(解決策2B)

 ダイアフラムも勾配を付けて取り付ける方法も考えらます。このとき板厚は2サイズアップで済みますが,コラムにも勾配を付けるので製作が少し難しくなるかもしれません。


(解決策2C)

 さらに,傾きがが小さければ,サイコロのダイアフラム面を柱シャフトに傾けて取り付ける方法も考えられます。


 いずれにしても,設計者と十分に協議を行って決めることが大切です。

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