建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

3-65 アングルブレースのガセットプレート板厚

 改修工事で、耐震ケーブルブレースからアングルブレースにVE案(施工者)が採用され、アングルブレースに対するガセットの厚みを決める際の根拠を求められ困っております。本来であれば、設計側が構造計算等で既存の荷重等考慮し板厚・ボルトサイズ・ボルト数が決まると思いますが、本設計に部分詳細はありますが、VE案で採用されたアングルブレースの鉄骨標準図に記載がありません。

 ガセットの板厚は、取付部材の同厚とするかまたは1サイズアップとするかなど,どのように説明すればよいのでしょうか。


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A

 アングルブレースのガセットプレートは、ブレースに作用した力を周辺の柱・梁部材に伝えるための重要な構造要素ですので、プレート厚は簡単に決められるものではなく、設計責任を持った者の仕事であることは言うまでもありません。
 問題は、このアングルブレースがVE提案で決まったということで、詳細設計の責任の所在が担当者間で混乱しているのかもしれません。VE提案の場合の基本的な考え方としては、VE提案をする者(通常施工者)が、それに伴い設計変更が生じる全ての箇所の詳細を検討し、設計者がそれを承認した上でVE提案の採用が決まるというのが原則です。但し、VE提案の内容によっては変更の生じる全ての部位の詳細を決めることが、時間的に無理がある場合もありますので、その場合はVEの提案者が責任を持ってそれに伴う設計変更の検討を行い、必ず設計者の承認を受けることを設計者に約束した上で、VE提案は採用されることになります。

 従って今回のケースでは、ガセットプレート厚を検討するのは施工者の責任ということになります。設計、あるいは施工の担当者の経験が浅いことから、VE提案の場合のルールを正しく理解していないのかもしれませんし、設計責任の所在を軽く考えているのかもしれません。このような場合の対処法としては、

① ガセットプレート厚に関する質問回答を正式な手順を通して求める。

② 現場定例等でガセットプレート厚が決まっていないことを説明し、至急決めて欲しい旨を議題に挙げる。

等が、考えられます。特に現場定例の記録は、建築主の目に触れることも多いと思いますので、設計者も施工者も杜撰な対応はできないはずです。

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