建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

2-18 外法一定 H 形鋼のサイズ種類

 外法一定H形鋼はサイズ種類が多いので,材料管理のうえで間違いが生じやすいという問題があります。最近,日本製鉄はハイパービームのサイズごとの受注運用を見直しましたが,それでも常時製造サイズだけで約250種類あり,JISのH形鋼と比べると桁違いです。今後さらにサイズ種類を絞る動きはないのでしょうか。

▲質問一覧に戻る


A

 外法一定H形鋼は,JIS G 3192 : 2021「熱間圧延形鋼の形状,寸法,質量及びその許容差」の表16に,全302サイズの断面寸法等が規定されています。一方,製造メーカーのカタログには,日本製鉄で全556サイズ(うち,常時製造は245サイズ),JFEスチールで全400サイズが記載されています。
 従来のH形鋼は,せいと幅の組み合わせやフランジとフェブの厚さの組み合わせに制約が多く,細幅で24サイズ,中幅で29サイズしかありません。また,同じシリーズで内法(うちのり)が一定なので,表サイズと裏サイズの梁を上フランジ合わせで高力ボルト接合しようとすると,下フランジに食い違いが出て,多数のフィラープレートが必要となります。このため,設計者が実際に選択できるサイズはさらに限られます。
 このような課題を解決するために,日本独自の圧延技術で開発されたのが外法一定H形鋼です。せいと幅が50mmピッチ、ウェブ厚とフランジ厚が常用板厚で構成されるため,溶接H形鋼 (BH)と同じ感覚で設計者が最適な断面寸法を選ぶことができます。逆に,この便利さの追求が,膨大なサイズ種類数につながり,ご指摘のような間違いを誘発することも考えられます。
 外法一定H形鋼のサイズ種類を削減することは,メーカーにとって受注サイズが集約できロールチャンスも増えるのでメリットがありますが,一方で商品の競争力を損なうことになるので,メーカーとしてその両方をにらんで現在のサイズ表を設定していると考えられます。したがって,サイズ種類の削減はあまり期待できません。
 実際の鉄骨製作にあたっては,設計図の部材リストに指定された外法一定H形鋼のサイズと鋼種をよく確認し,材料発注にミスがないようにチェックすることが必要です。

※ 主なメーカーの外法一定H形鋼製造サイズ表


出典:日本製鉄株式会社:カタログ「H 形鋼」 © 2019, 2022 NIPPON STEEL CORPORATION K004_04_202209f


出典:JFE スチール:カタログ「JFE の H 形鋼」 © JFE Steel Corporation. All Rights Reserved. 2203R (2103) 1-0.8 BSY

▲質問一覧に戻る