建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

7-8 溶融亜鉛めっき高力ボルト使用時の拡大孔

 溶融亜鉛めっき鉄骨の場合,ボルト孔が亜鉛めっきの付着により0.4mm程度小さくなる場合があります。また,ボルト径も0.2mmほどめっき付着分で大きくなっている可能性があります。ボルトの挿入が困難になる場合がありますが,+1mm(ボルト径+3mm)程度の拡大孔をあけることを認めてもらう方法はあるでしょうか。

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A

 高力ボルトの孔径は建築基準法施行令第68条第2項で,「ボルト径+2mm以下」と定められていることから,拡大孔を認めてもらうことはかなり難しいと思われるかもしれませんが,溶融亜鉛めっき高力ボルトの場合は,そう単純な問題ではないようです。

 元々,溶融亜鉛めっき高力ボルトはすべり係数等も異なることから,基準法施行令第68条の対象ではありません。従って,溶融亜鉛めっき高力ボルトはそのままでは建築物に用いることができないことになりますので,ボルトメーカー5社がそれぞれに建設大臣の一般認定を取得することにより使用できるようになったということです。

 大臣認定を受けた高力ボルトは施行令第68条第3項で第2項の規定は適用しないとありますので,大臣認定を取得する際,別途ボルト孔,ボルト径ともにめっきの影響を考慮して,当時の施行令のボルト孔径の規定「ボルト径+1.5mm」に0.5mmを加え,「溶融亜鉛めっき高力ボルトの場合は孔径を「ボルト径+2mm」としたのが当初の経緯のようです。その後,施行令第68条第2項で定めるボルト孔径の規定は基準法の改正により「ボルト径+2mm」と改定されましたので,溶融亜鉛めっき高力ボルトも「ボルト径+2.5mm」に改めるべきであったのですが,そうなっていないというのが現状のようです。

 従って,、溶融亜鉛めっき高力ボルトメーカーのめっきの影響を考慮して孔径を「+0.5mm」するという当初の意図に従えば,溶融亜鉛めっき高力ボルトの孔径の規定は「ボルト径+2.5mm」とすべきと思われますので,やや長期的な問題解決ということにはなりますが,ボルトメーカーに働きかけて,大臣認定の改定を促すことも必要と思われます。

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