建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

10-1 2013年度PDの結果を踏まえた今後の方向

 2013年度のパネル・ディスカッションの結果を受けてSASSTは今後、どのような方向で今回の問題点の解決に向けた活動を行っていくのですか。

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A

 2013年度のP.D.では、中小規模の鉄骨造建築物に関して設計・工事現場施工・鉄骨製作の各方面からみた現時点での各種の問題点の指摘とその解決に向けた討論が行われました。それらの要点は、これまでに示してきました。

 SASSTはワーキンググループを設けて今回の成果を詳細に検討し、今後、中小規模の鉄骨造建築物を主な対象として、現在より合理的な設計・工事現場施工・鉄骨製作のシステム構築に向けた努力を行っていく予定です。なお、このWG.は全国鐵構工業協会・青年部会との協同のものとして各種の検討を行う予定です。

 そのような作業は、既に一部を実施していますが、主な検討項目は以下のようなものになると考えています。

(1)接合部詳細の標準化と周知による一般化
 今回のP.D.で建築研究所の西山理事からも指摘があったように、この問題は、中小規模の鉄骨造建築物の品質確保とコストダウンの大きな課題です。
 現在、すでに多くの標準設計が提案されていますが、それらの内容を詳細に検討して適切な方向付けを行いたいと考えています。

(2)ファブによる標準仕様書・製作基準・検査基準などの作成
 中小規模鉄骨造建築物の合理的な製作・品質確保とコストダウンを図るために、ファブ側で具体的でより適正と考えられる標準仕様書・製作基準・検査基準などを作成することは、それらの基準類が完成した後の利用・普及面を考えると極めて望ましいものです。これまでこの種の基準類はすべてファブにとって他から与えられたものであったことを反省点に、ファブ自体が自分たちで作ったものとの認識の基、各ファブが自主的に利用していくことが大切であると考えるからです。

(3)合理的な鉄骨建築物の設計・製作・施工システムの確立
 中小規模の鉄骨造建築物の設計で各種の問題点が存在することが、今回のP.D.でかなり具体的に示されました。また、工事現場で鉄骨担当の技術者が鉄骨工事に集中できない状況も指摘されています。
 このような状況下で品質に問題のない鉄骨部材をどのように製作してゆくかという問題を考えると、鉄骨造建築物の構造特性を熟知し、鉄骨部材の製作に詳しい鉄骨構造専門の管理技術者(仮称、スチール・コーディネーター)制度を新たに構築し、このような技術者の適正な利用という新しいシステムの構築も検討すべきであると考えます。図3には、そのようなシステムの概要を示します。
 はじめに述べたWGでは、今後、以上に例示したような検討課題を検討し、今後のSASSTのP.D.で発表し、更なる成果に繋げていきたいと考えています。


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