建築鉄骨構造技術支援協会(SASST)  
 
Q

1-10 柱梁接合部における鋼種選定の考え方

 柱材として冷間成形角形鋼管を使用した柱梁接合部において、板厚方向力を受ける部材の鋼種選定及び鋼管材の記号について教えて下さい。

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A

 耐震設計される建築物の主要構造骨組は、建築構造用鋼材を用いるのが原則です。1994年6月に制定されたSN材はこれに対応しており、それまで使われてきたSS材は一般構造用鋼材に、また、SM材は溶接構造用鋼材としてその適用を建築構造用から除外することとなりました。(JIS G 3136、JIS G 3101、JIS G 3106の各第1条 適用範囲を参照)

 SN材は、使用区分によってA材(強度を降伏点、引張強さで保証)、B材(強度に加えて、溶接性、塑性変形能力が確保できるように、炭素当量、降伏比上限、降伏点のバラツキ幅等を規定)、C材(B材の特性に加えて、板厚方向の健全性を板厚方向の絞り及び超音波探傷試験で明らかにする。)に鋼種区分されました。ここで、C材は冷間成形角形鋼管を柱とした通しダイアフラム形式の柱梁接合部におけるダイアフラムを想定すると、この部分はダイアフラムの板厚方向に大きな力が加わり、ダイアフラムが裂けるような破壊の発生が観察されました。このような破壊を防ぐために設けたものがC.材です。

 即ち、図-1のような冷間成形角形鋼管を柱に用いた通しダイアフラム形式の柱梁接合部を形成するダイアフラムは、SN400C又はSN490Cの鋼種を選定しなければなりません。この他にも、図-2のように柱梁接合部が内ダイアフラム形式となる柱は、内ダイアフラムと梁フランジによって板厚方向に大きな引張り力を受けます。従って、このコラムの原板はSN400C又はSN490Cでなければなりません。(ボックスコラムのスキンプレートもこれに該当する。)なお、(一社)日本鉄鋼連盟では、冷間成形角形鋼管を柱材に使用することを想定して、その設計法に要求される材料性能規定として次の3つの製品規定を定め、建築基準法第37条第2号によるF値の大臣認定を得ています。ここで、BCR295は、「鋼帯を冷間ロール成形した鋼管」で強度レベルはF =295N/mm²の1種類、BCP235及びBCP325は「厚板を冷間プレス成形した鋼管」で、強度レベルは235N/mm²と325N/mm²の2種類があります。SNのC材からプレス成形された角形鋼管はBCP235C、BCP325Cと表記します。


図-1 通しダイアフラム形式

図-2 内ダイアフラム形式

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